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システム投資の予算立てのチェックポイント

[2020.7.31]

DESCRIPTION

システム開発を依頼する時に重要になってくる予算の立て方について説明させて頂きます。

システム投資予算を組むときの考え方

システム投資をおこなうとき、IT投資としてどの程度予算を書けるのが妥当なのか?という悩みは必ず発生すると思います。 また、ある程度予算を立てたとしても、事業領域の中でどのように配分するべきか?という点も経営上検討すべき課題となります。

一般的なIT投資額の目安は?

システム投資の予算を考えるとき参考になる指標として、一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)より 企業IT動向調査報告書 2020が発表されています。

資料によると、売上高に対するIT予算比率は2019年度はおおよそ1.28%となっています。 業種により比率の差異がありますが、最高で金融業の9.65%、最低で素材製造業の1.45%という結果でした。 また、海外では3.28%というデータもありますので、売上高に対して1~3%という数字は、一定の参考値として考えて良さそうです。 わかりやすく年間売上100億円の企業があったとしたら、1億円〜3億円がIT投資額の目安ということになります。

IT投資における2つの方針 「ランザビジネス」 「バリューアップ」

企業IT動向調査報告書 2020では、IT予算配分について

  • 現行ビジネスの維持・運営(ランザビジネス)
  • ビジネスの新しい施策展開(バリューアップ)

の2軸でキャッシュベースの予算配分比率を調査しており、 ランザビジネス予算対バリューアップ予算の比率は76.7対23.3となっています。 ランザビジネス予算には、現行システムにかかる保守費用やリース費用、サブスクリプション費用も 含まれますので、先程の例でIT投資予算1億円の企業であれば約7600万円は既存システムの維持管理、運用費用に支出され、バリューアップ予算は2400万円ということになります。 ただし、これはは単年での計算であり、実際には耐用年数(ソフトウェアの場合は5年)を考慮します。 この例で、新規に2000万円のシステムを構築した場合、帳簿上は年間400万円ずつ5年に渡って計上され、 償却がおわるまで、ランザビジネス予算に加算されます。 往々にして、ランザビジネス予算は事業規模(システム規模)が大きくなればなるほどIT予算を圧迫しますので、 目的を明確に定めた投資が求められます。

IT投資における3つのベネフィット 「売上高の向上」「コストの削減」「人の能力向上」

IT投資におけるベネフィット(効果)とはなんでしょうか。 大きく分けて以下の3つと考えられるとおもいます。

  • 売上高の向上
  • コストの削減
  • 人の能力向上

例示をすると、 「売上高の向上」では、ECサイトのような販売チャネル強化による直接的な効果のほか、広告などの間接効果を求める投資。 「コストの削減」では、生産現場での歩留まり率を改善、品質改善、既存業務の効率化といった投資。 「人の能力向上」では、データを活用した意思決定支援基盤の構築や、ナレッジマネジメントに対する投資。 となります。 いずれにおいても、いわゆる「攻めのIT投資」(企業価値の向上や競争力強化)、「守りのIT投資」(業務効率化や利便性改善)どちら追求することができますので、IT投資予算を検討する際には、これらのどの効果が、現在の経営課題にコミットするか、よく検討する必要があります。

経営課題から考える方針、ベネフィットの優先順位付け

ここまでで、IT投資における2つの方針と3つのベネフィットをご紹介しました。 こうして整理すると、たとえば、自社の経営課題が「新規顧客の開拓」であれば、「ランザビジネス」の「売上高向上」となるので、Aの領域へ投資することを優先に考えることになります。 例えば新規販売チャネルとなるECサイト構築や、ターゲティング広告を既存顧客層と異なる属性へ配信する。などです。

このようにして、経営課題と期待する効果、どちらもよく検討して予算配分を検討すると良いかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 本記事では大きな枠組みとしてIT投資の方針検討における考え方をご紹介しました。 実際にどういった技術やシステムを採用していくべきか、予算組の段階で悩むことがございましたら、 お気軽に弊社お問い合わせフォームよりご相談ください。